感染症予防にはエタノール消毒以外は何かないの?

感染症予防にはエタノール消毒が一番有効なの?

前回からの続きですが、前回は石鹸による手洗いと消毒剤による手洗いについて書きました。

今回はその消毒剤の特徴や得手不得手、得意不得意について書いていきます。

先にネタバレ!

「消毒用エタノール」が買えなかった時には、哺乳瓶の消毒に使う「ミルトン」やキッチン用の塩素系消毒剤「ハイター・ブリーチ」がオススメです!

消毒剤は何でも効くわけではありません

消毒薬の名前と何に効果があるのか?

消毒薬 一般細菌 芽胞 結核 ウイルス 真菌
エチレンオキサイド
ホルムアルデヒド
塩素系消毒類

(次亜塩素酸ナトリウム・ミルトン・ピュリファ ン P・テキサント・ハイポライト・ピューラ ックス・ヤクラックス Dなど)

無効
アルコール類

(消毒用エタノールなど)

無効
クレゾール石けん液 無効 無効
石灰酸(フェノール)類 無効 無効
逆性石けん

(オスバンS・ウエルパス・塩化ベンザルコニウム等)

無効 無効
クロルヘキシジン

(ヒビスクラブ,マスキ ンスクラブ,マイクロ シールド)

無効 無効 無効
ポピドンヨード(イソジンなど)

消毒剤は一般細菌には全て効果があります。
ウィルスに効果がある消毒剤は塩素系消毒類とアルコール消毒類です。
芽胞や真菌に対して消毒効果を期待する場合は塩素系消毒類を使用しましょう。

アルコール消毒類の特徴

アルコール消毒剤は細菌のたんぱく質変性や脂質の溶解、代謝機構の阻害により殺菌作用を発揮します
手指、皮膚、器具に広く用いますが、ゴムは変質するので使えません。
細菌、結核菌、ウイルス、MRSAに有効ですが、芽胞には無効です。
真菌にもあまり効果がありません。

アルコール消毒にはエタノール(70~80%)やイソプロパノール(30~50%)があります。
イソプロパノールは皮膚や目に対する刺激性が強いのが難点です。

またアルコール類は濃度が消毒効果に重要です。エタノール(70~80%)、イソプロパノール(30~50%)が最適な濃度です。
無水エタノールは濃過ぎるためそのままでは消毒には使えません。無水エタノール8に対して水2を加えエタノール濃度80%に希釈して使用しましょう。

 

 

 

塩素系消毒類の特徴

有機化合物と水に対して塩素の酸化作用により細菌が死滅します。
塩素ガスは水道水の消毒に使用されており、強い刺激性、金属腐食性があります。
さらし粉は井戸水やプールの消毒に使用されています。
次亜塩素酸ナトリウムは細菌、芽胞、ウイルス、真菌、B型肝炎ウイルスに有効ですが、結核菌には無効です。

汚物(血液・嘔吐物・下痢便)等で汚れ有機物が存在している場合は消毒効果が低下します。
塩素系の消毒剤は石鹸による手洗いの後に使用しましょう。

皮膚刺激性や金属腐食性があります。

なお、哺乳瓶の消毒に使う「ミルトン」や市販されている家庭用塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)も塩素系消毒剤として使用できますが、必ず濃度は希釈し(薄め)て使用しましょう。
希釈濃度は用途によって異なります。パッケージの表示に従い希釈して下さい。

(注意) ミルトンや家庭用塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)は漂白作用がありますので色抜けし白くなっては困る物には使用できません。

消毒剤を使用しない消毒方法

食器など加熱に耐えられる物を消毒する場合は消毒剤を使用しなくても消毒できます

食器など加熱に耐えられる物は煮沸消毒や蒸気殺菌、高圧蒸気滅菌が有効です。
具体的に家庭で行う場合は

  • 煮沸消毒法・・・沸騰した水中で15分以上煮る(15分以上鍋で煮立たせる)
  • 平圧蒸気殺菌法・・・100℃の飽和水蒸気中30分(30分以上蒸し器で蒸す)
  • 高圧滅菌法・・・圧力鍋で15分以上煮る

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