⑨子宮頚部腺癌治療後副作用2-2期編~小腸横行結腸バイパス手術とその後~

子宮頚癌術後放射線化学療法による癒着性腸閉塞に対する小腸横行結腸バイパス手術とその後

前回の⑧では入院41日目まで(尿管の閉塞部分に対する説明)書きました。
入院41日目は手術の2日前にあたります。
今回は手術前日から退院までと退院後の状態について書いていきたいと思います。

小腸横行結腸バイパス手術前日

以前に子宮頚ガン手術と同じで前日に少し色々と事前の準備があります。
その1つにコロナ禍の為にPCR検査が必ず有ります。
今回は腸閉塞でイレウス管が入っており、なおかつ1週間前から絶食なのでお腹を空にする下剤などは無く、その他は以前の手術の時とほとんど変わりません。

以前の「手術前日から当日」の話↓

元々は腸閉塞と尿管閉塞の剝離手術を行う予定でかなり長時間の手術のはずでした。
しかし、「剥離手術」ができないので「小腸横行結腸バイパス手術」を腹腔鏡下で行い約3時間の予定です。
※剝離手術ができない理由は放射線を照射した部分の組織が脆く触らない方がよいと判断されたため。

小腸横行結腸バイパス手術当日

朝8時30分に手術室に入り、手術後は回復室で30分過ごし13時頃に、胃管(イレウス管から胃管に変わり)、中心静脈栄養(PICC)、膀胱留置カテーテル、腰部硬膜外麻酔を付けた状態で病室に帰ってきました。
今回は早期離床の為にベッド上安静の期間がかなり短くなっていました。
前回は手術後2日目に座位やベッド周りを歩行する程度だったものが、今回の手術は翌日には朝昼晩の1日3回病棟を1周ずつ歩くのを目標というスパルタでした。

以前の「術後から退院まで」の話↓

腹腔鏡下手術後 傷の痛みは?

今回は腹腔鏡下の手術だったので手術痕が5カ所(4cmの傷2カ所・1cmの傷3カ所)でした。
表面は5カ所の傷ですが、思っていた以上に意外と痛みがありました。
硬膜外麻酔は3日後までしか使用しない(硬膜外麻酔は残っていても3日後には取り外す)のを解っていたので、痛い時や動く前、歩行の前にがんがん麻酔のボタンをプッシュして硬膜外麻酔を使用していました。
膀胱留置カテーテルは翌日、腰部硬膜外麻酔は翌々日に取れました。

手術診療明細書

小腸横行結腸バイパス手術後の飲食は?

食事は(腸閉塞なので胃管が入っていて)3日目まで絶食。胃管が取れ3日目からの回復食も前回の腸閉塞時に出た「粉末を水で溶いて飲むヨーグルト味のドリンク」からスタートするのが標準的だそうですが、そのドリンクを飲むと下痢が頻回になり、差込便座のお世話になる辛い思いをしたので、消化器外科の先生に「粉末を水で溶いて飲むヨーグルト味のドリンク」は下痢がひどいので飲みたくないと2度懇願しお願いしました。
思いが通じ、普通の流動食(重湯)からの食事スタートにしてもらえました。
「粉末を水で溶いて飲むヨーグルト味のドリンク」の名前が思い出せないのが悔しいですが、順調に重湯→3分→5分→軟飯の順で内容が上がっていきました。食事が始まり点滴の内容が高栄養ではなくなりましたが中心静脈栄養(PICC)は、まだつけたままです。

小腸横行結腸バイパス術後 入院中の経過は?

術後3日目から上記のように食事がスタートしましたが、半年近くまともな量を食べていなかったので、いきなり全部の量は食べられませんでした。
また「小腸横行結腸バイパス手術」を行った事で、小腸で栄養が吸収されきらず、未吸収の物質がバイパスを通り大腸(横行結腸)へ送られ、大腸では水分の吸収が足りない状況で排便されるので、「腹痛・下痢」を起こします。
食事をするとお腹が痛いので「おっかなびっくり」で食事をしていました。
食事が少なければ下痢便の量も少ないですが、食べる量が増えると共に下痢便の量と回数が増えました。
普通食まで待たずに術後10日で「腹痛・下痢」は起こる状態のままですが中心静脈栄養(PICC)を外して退院になりました。

「小腸横行結腸バイパス手術」退院後の状態は?

食事をすると胃腸が動くのでその音がすごいです。
また腸が大きく動く時に痛みがあります。
下痢は多い時で日に6~8回、肛門の調子が悪くなりワセリンや痔の薬を塗って過ごしています。
術後1~2ヶ月は特に下痢がひどく、何を食べた後に下痢が悪化したのかを統計的にみていました。
私は脂肪分が多いメニューや牛乳、牛肉の脂分で下痢する機会が多く、これらを除いた食事を心掛けて下痢を減らすように努力しています。
「一般的な腸閉塞に対する消化の良い食材・調理法・タンパク質摂取についての指導」は有りましたが「小腸横行結腸バイパス手術」後の食事について病院での指導や制限は特に無く、またインターネットで調べても「小腸横行結腸バイパス手術後の食事」の文献が見つからず、「SBS(腸短症候群)」を参考にしました。
現在「消化の良い食材・調理法・タンパク質摂取」と「SBS(腸短症候群)」の食事法を組み合わせて行っています。

「小腸横行結腸バイパス手術」4ヶ月後の現在は?

下痢の回数が減り1~3回/日になりました。
たまに誘惑に負けて脂肪分の多い食事やデザートを食べると食後早々に下痢をお越し、食べた事を反省しています。
かなり食事を調整(和食中心だと調子が良い)すれば1~2回/日の排便で過ごせます。
下痢が頻回だった頃は、いつ下痢になるか心配で外出ができませんでしたが、回数が減り買い物などの外出ができるようになりました。
下痢はしますが半年でかなり減ってしまった体重も少しずつ増えています。

 

食事

今と今後について

尿管閉塞は今後画期的な治療法が見つからない限り通院と3ヶ月毎のステント交換(経尿道的尿管ステント留置)は一生のお付き合いになると思います。
子宮頚癌術後の経過は10年間診るそうなので、再発が無くても10年は婦人科の通院が必要です。
腸閉塞の小腸横行結腸バイパス手術後は専門医への通院や相談の窓口が無く、婦人科に行った時に何か気になる症状を伝える程度です。
また先月には3ヶ月毎に行う経尿道的尿管ステント留置の交換を1泊2日入院し、念のため点滴で抗生物質と抗生物質服用のも行いましたが、退院後に発熱し2日間体調を崩しました。
今後3ヶ月毎のステント交換時は念のために数日多めにお店をお休みさせていただこうかと思っています。
お休みが多くなりご来院の皆様にはご迷惑をおかけし申し訳ございません。
無理せずに鍼灸と漢方相談のお仕事を続けて行きたいと思っております。