流産の1番の原因は染色体の異常なんです①

流産の1番の原因となる「染色体異常」について

流産の原因は?

妊娠しても残念なことに流産してしまうこともあります。
この原因として、母体側と胎児側が考えられます。
そして、胎児側の原因には染色体異常が多くを占めていると言われています。
流産してしまった時、決して母体側(貴女)が原因と責めないで下さい。

染色体とは?

染色体とは、簡単にいうと遺伝情報を持つDNAの塊であり、細胞の核内に存在します。
ヒトの場合、2本1対となっていて、23対46本あります。父親から23本の染色体を持つ精子と、母親から23本の染色体をもつ卵子が受精して46本の染色体をもつ受精卵ができます。
染色体は両親(父母)から1/2づつもらってくるものです。

染色体異常とは?

染色体異常には、数的異常や構造異常などがあります。
数的異常(=異数性)とは、染色体の一部、あるいは複数の部分が1本多い場合(トリソミー)と1本少ない場合(モノソミー)があります。
構造異常には、染色体の一部の欠失や重複、転座などがあります。
転座とは、染色体のある部分が、本来とは別の位置にある状態で、大きく分けて、均衡型転座と不均衡型転座があります。
均衡型転座とは、ある染色体とある染色体の間で場所が入れ替わっているが、全体を通して過不足はない状態です。
不均衡型転座とは、転座により染色体量の過不足が起こっている状態です。染色体の異常は加齢とともに増加します。両親の年齢が高いほど染色体の構造や数が誤った異常な染色体が作られてしまいます。
染色体は数が多くても足りなくても構造が悪くてもいけません。

なぜ染色体異常が起こるの?

日常生活をする中で活性酸素は細胞あたり約10億個が日々増えていきます。誰でも普通に生活しているだけで活性酸素は体内に溜まると言う事です。活性酸素は癌や生活習慣・老化 等さまざまな病気の原因であると言われています。活性酸素は紫外線・放射線・喫煙・薬物のような外的要因だけでなく、精神的なストレスによっても増加する事が分かっています。活性酸素は体内全ての細胞内のDNAを傷つけ老化に関わり、最近では活性酸素が精子や卵子の妊孕性を下げる原因となると言われています。加齢により活性酸素が分解・排出しきれず体内に溜まらないよう活性酸素を除去しましょう。

どれくらいの割合で染色体異常は起こるの?

新生児における染色体異常児の割合


産まれてきた赤ちゃん「新生児」の染色体異常の頻度は1/154 (約0.6%)認められています。

自然流産児における染色体異常児の割合


さらに、これは各染色体異常が妊娠過程においてどのような予後を取るかを予測したものです。
染色体異常のある受精卵や胎児は生まれてくるまでの間に淘汰され、実際に生まれてくる頻度は低いと考えられます。染色体に異常が無い場合の流産率が8%なのに対して、染色体に異常がある場合の流産率は94%と推定されています。
妊娠が明らかになる前に自然流産している例も多いので、すべての受精卵における染色体異常の頻度は上の表に比べてずっと高いと考えられます。

受精卵での染色体異常の割合

こちらの論文より
Diminished effect of maternal age on implantation after preimplantation genetic diagnosis with array comparative genomic hybridization

(初期胚とは受精後3日目の胚で、胚盤胞とは体外で培養できる最終段階の状態です。)
年齢にともない、異数性の割合が増加していることがわかります。
どの年齢においても、初期胚より胚盤胞の方が異数性の割合が下がっているます。受精卵は胚盤胞に発達してくるまでの間に多少、異常のものは淘汰されていると考えられます。
現在では着床前スクリーニングといった胚の染色体異数性異常を調べる方法もあります。
このスクリーニングを行い、胚を選別することにより、妊娠率が向上し、流産率を低下させる可能性があるといわれています。

染色体異常を予防するには?

高齢での妊活は染色体異常の高リスクです。
40代では80~90%染色体異常が起こると考えてください。
30代前半で30~50%、30代後半で40~70%の染色体異常が起こります。
妊活をお考えの方は1年でも早く、1か月でも早く取組まれる事をオススメします。

染色体異常を起こす体内の活性酸素を除去するには?

活性酸素除去作用が強い食品やサプリメントを利用しましょう。

抗酸化物質は活性酸素を除去する作用があります。ビタミンC、ビタミンE、ビタミンAなどがあり、野菜や果物、ナッツ類にはこれらの抗酸化物質が多く含まれています。

活性酸素や抗酸化物質については

活性酸素を除去するサプリメントは

参考文献
トンプソン&トンプソン遺伝医学 第2版
マイクロアレイ染色体検査