女性の職種が卵子の数に影響する?

女性の職種は卵子の数に影響を与えるのか?

重いものを持ったり勤務時間が不規則な仕事をする女性には、卵子の数や成熟度が低下するおそれがあるという。

特に過体重や肥満の女性、37歳以上の場合にはこの傾向が強く見られたとのこと。

ハーバード大学からの研究報告。

「妊娠を計画している女性は、夜勤をしたり重いものを持つ仕事がリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に与える潜在的な負の影響力について認識すべきだということが、私たちの研究から示唆されました」と研究を率いてきた環境保健省の研究員であるリディア・ミンゲエス・アラルコン氏は述べている。

先行研究では、仕事のスケジュール、職種による身体的要素と生殖能力との関連が示唆されてきた。しかしそれらは、生殖ホルモンや卵巣機能などのバイオマーカーそのものを測定した研究ではなかった。今回の新しい研究では、バイオマーカーと職業の要因との関連を明らかにしたという。

研究では、2004-2015年の間にマサチューセッツ総合病院の不妊治療を希望した500名近くの女性が対象であった。対象者の生殖に関するバイオマーカーを直接測定した。

研究者らは、卵胞の数や卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストロゲンの値、健康な胚になるような成熟卵の数などの生殖に関するバイオマーカーを調査した。また、仕事の労働力と、スケジュールについて質問票を用いて調査し、バイオマーカーとの関連を分析した。

その結果、職場で重いものを動かしたり持ち上げることが、卵胞数や卵子の数と反比例の関連があったことを明らかにした。重いものを動かす、持ち上げると答えた女性では、持ち上げることのない女性と比較して、卵子の数が8.8%、成熟した卵子が14.1%少なかったことが明らかになった。

過体重や肥満の場合、37歳以上の女性で強い関連がみられた。仕事時間が夜間や不規則な女性では、卵子の数が反比例の関係があった。一方で、仕事の因子とエストロゲンとFSHの値との間には関連がなかった。

重いものを動かしたり、持ち上げることが、卵子の数や質に与えるメカニズムは明らかになっていないと研究者らは述べている。また、仕事が不規則である場合の卵子の数の減少には、サーカディアンリズムの乱れによると推測している。

卵巣の老化よりも、むしろ肉体的労働が卵子の生殖や質に負の影響を与えている。

しかし、仕事を回避した場合に、卵子の数の現象や質の低下が、どのくらい回避できるかについては、更なる研究が必要となると、栄養学科のオドリー・ガスキンズ研究員は述べている。

出典 『職業環境医学』(論文要旨)